光を探して

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かつて幼子を抱えた母は、原発を憂いながら、小さな声をあげるだけだった。
今、母は祖母となり、「豊かさ」をやすやすと享受し、馴らされてしまった自分を思う。

蓼科に暮らし始めた頃の工夫。美しい環境の厳しさや優しさを知っていたはず。
もっと言えば、ものごころついた頃の慎ましい日常を。

これからの命のために、無言で逝ってしまった人たちのために、体力と知力を養い、感情に溺れることなく、ほんとうに大切なことを考える時が来たのだと思う。

雪を割り光を求め、スノードロップは今年も咲いた。

萩尾エリ子