窓辺の花園


種を播き、慈しみ育てた苗を戴いた。
野生の美しさを持つミスミソウ。雪割草とも呼ばれる。
まだ厳しい冬を知らない花たちは、ただ愛らしい。

外に出る日まで、ガラス越しの光の中で肩を寄せてまどろむ。
5月になったら、木立の中で生きてきた先輩のまわりに植えよう。
仲間を増やして、庭の物語を増やして、春ははじまる。

萩尾エリ子 / simples