手から手へ 2020年01月01日 掲載 届いたばかりの新しい器に、 柚子の一片と雪の中の香草を入れた。 両手で包み、ゆっくりと味わい、作る人を想う。 彼女は黒い犬と、私は黒い猫と暮らす。 その手はずっと土に触れ、一日一日を慈しむ。 ふわりと湯気が昇り、ひととき春が見えた。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »