秋がはじまる


燃えるほどの赤でなく、森の中に咲くその花は繊細。
誰かのための、小さなかがり火。

私のまわりの林では、団栗がいっぱい。
胡桃はそこそこ、栗の実は少ない。
リスが木々を渡り、忙しく走る。
雨も風も吹く。

ささやかな幸を貯めながら、私も歩く。
今日は、髪に野菊を飾った。

萩尾エリ子 / simples