夏の庭で


キアゲハの幼虫が、アンジェリカの葉の上で日に日に大きくなった。
男の子がその一匹を持って帰って育てた。
蝶の羽化も驚きだったけれど、ほんとうはカブトムシが欲しい。
彼の父さんは、虫は買うのではなく自分で見つけるんだという。

空に放つ日、隣のバレリアンの葉陰に、大きなカブトムシがいた。
彼は4才のわらしべ長者。
新しく作った庭の初めての物語。

萩尾エリ子 / simples