風を運ぶ 2018年07月01日 掲載 久しぶりの旅。バルト海を臨む小さな国は、木々を愛し、薬草を慈しむ。 旧市街には、クリーム色の花をたわわにつけたリンデンバウムの大木がそこかしこ。 柔らかな甘い香りに、これまで訪れたヨーロッパの初夏が甦る。 夕暮れに花を摘んだ。野の矢車草、アカツメクサ、ヒナギクも加えよう。 今、この時と光と風を混ぜあわせて、私へのおみやげ。 日に日に足どりも心も軽くなってゆく。 旅というのは、類い希な妙薬とあらためて思う。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »