ひと夏を重ねて

2016-08
毎朝、窓を一杯に開く。
木々から生まれた冷たく青い香りが流れこみ、
ひと夜、閉じこめられた香りが庭へと放たれる。

二つの空気は混じりあい、ここだけの夏の匂いを作る。
透きとおって、通り抜けて、店先から小道へ。

ようこそ、お待ちしていました。

萩尾エリ子 / simples