庭の千草 2013年11月01日 掲載 あたりが秋の気配を濃くする頃、 ボランティアは少なくなった花々を集め、花束をつくる。 それは年に一度、緩和ケア病棟の家族会でテーブルを飾り、手渡すもの。 旅立った人への想いは、いつまでも深く切ない。 それでも懐かしい医師や看護師に会えば、忘れえぬ人が温かく甦り、 涙と笑顔が溢れてゆく。 花束は過ごした庭の香りがする。 抱きしめて、抱きしめて、それぞれの明日をまた、歩きはじめる。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »