緑の気配

【写真】
夏至の日は、札幌での講演会。
クリニックのセミナールームを香草で一杯にした。
これが私の最初の「言葉」。伝えたいこと。

病院という場は、植物から離れていった。
もう一度、緑に包まれて、ここちよく息をしよう。
だから、私はいつも薬草の香りを育てる。手渡す。
これは私の原点。

満月の夜、友たちと散歩をした。
咲きはじめたリンデンバームの花々が薫った。
戻った蓼科の庭は、雨に洗われて静寂と芳香に溢れていた。

萩尾エリ子 / simples