小さく光る

【写真】
花たちにきらきらと光る砂糖をまぶす。
4月の雪に首をすくめた花々を、美しい砂糖衣に包む。

20年も前に書いた「花の砂糖菓子」。外国の本を頼りに、幾度も作った。
小皿にのせ、90歳の母に届ける。
細い指先がつまむ。「きれいね。甘いのね」。

ニオイスミレ、プリムローズ、サクラ…。
外国の本にはサクラはなかった。
今の私を、初めての本を書いた頃に戻してみよう。
新しい世界がもうひとつ、見えるかもしれない。

萩尾エリ子 / simples