その日は 2012年11月01日 掲載 病院の庭の香草を集め、少々の花を買い、ボランティアの友人と花束を作る。 毎年、緩和ケア病棟の家族会でテーブルを飾る。 小さな花束を集めれば、籠は花園になった。 見送った大切な人を偲ぶ日、家族の語る言葉は溢れるほどに豊か。 見えない傷は時間に、あるいは人に、ゆっくりと手当をしてもらおう。 手渡された花束をいとおしみ、「家族」はまた歩きはじめる。 ふわりと草が薫った。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »