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アドバイスをしたのは20年も前のこと。
「もう一度、お願いしたいの。お茶と料理を楽しむ庭を」。
別荘の暮らしを存分に楽しんだご夫婦の言葉だった。
お二人の心弾む庭仕事の場となるよう、ほんの少しお手伝いをしよう。
若い人の手を借りて、小道を作り、種を播いた。

季節は熟成し、新たな豊穣を人にも与える。
私のものを見る眼も指先も、若い頃とは違うものを味わう。

細やかな柔らかい植物の織りなす様。
漂う空気。
ショップの庭では、忘れな草の青が揺れる。

萩尾エリ子 / simples