この手を

【写真】
ふわりと小さなおむすびに、その味噌をのせた。
年々にいただく味噌の中でも、この味と色は類なく優しい。

天災と人災の年を眠り続け、今、福島の味噌が息をする。
口の中に広がる滋味が語りかける。
失ったものを数える手は、受けとり受け継ぐものを育てる手に変われと。

木の間をリスが走る。春は近い。

萩尾エリ子 / simples