聴こえる… 2010年11月01日 掲載 花の木が赤に燃え、檀香梅が黄に輝く。 風に乗る栗の茶は、樹々から生まれた軽やかな羽根。 見えないほどの細い哀しみの糸が、無数に無数に織りこまれ、 生の喜びの布となる。 静寂の秋は、ずっと前から繰り返し語りかけていただろうに。 この年は、ことのほか聴こえる。胸に浸みる。 光と雨と風を受け、山の金、銀、珊瑚、やがて地を染め、 冬の扉が緩やかに開く。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »