もうひとつの飲みもの 2010年06月01日 掲載 ことのほか、春はゆっくりと過ぎていった。 冷気の中で、花々は命をつなぎ輝く。 匂いスミレ、キバナノクリンザクラ、プリムローズ…。 そして若い香草を摘む。 水と光でお茶を作る。微香が草の上で静かに溶けてゆく。 五感が目を覚ます。センサリーティーと呼ぼうか。 朝と夕、庭には緑の微泡がたちのぼる。 空気のトニックウォーターをごくり。 小鳥たちの声が聞こえる。魂は潤ってゆく。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »