ひっそりとひとり

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古い椅子を張り替えてもらった。
「昭和5年張り替え」の文字が現れる。

100才を超えているのかもしれない。
椅子はずっとここにあって、人が座り、猫が眠った。
じいさん椅子は若々しく胸を張り、今日も人を待つ。

背筋を伸ばし、ただ在り続けることを、またひとつ学んだ。
心に桃色のぼんぼりが灯る。
春の風は、もうすぐやってくる。

萩尾エリ子 / simples