風が通る

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店内の角に、机と棚を作った。
その棚板は、今はない町の小さな本屋さんの本棚のもの。

長男は高校生になると、手もとに届くのは遅くても、律儀に本を注文した。
次男は幼い頃、必ずといっていいほどトイレを借りた。
そこのお嬢さんはお母さんになって、ハーブや精油を大切に使ってくれる。

窓を開ければ、青い真新しい風が通る。
ここで暮らす幸せが渡ってゆく。

萩尾エリ子 / simples