小さき花々に

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風の配分か、小鳥たちなのか、
年ごとに庭は、思わぬところに花を咲かせる。
天からの恵みをありのままに受けとめて、
無心に咲いたその花は、ひときわ美しい。

丁寧に、大切に‘糧’を作り続けた人が迷い、
まわりの人の思惑の中で揺れている。
彼女はかつて、共に仕事をした私の“娘たち”のひとり。
しっかりと働いてきた手と、濁りのない感性は、比べるものがない。

迷わないで、そのままがいい。
心の庭には、貴女の慈しんだ日々の恵みが柔らかく貯められている。
小さな花々は、きっと蕾をふくらませている。
五月の庭は幼な子のように、真っ直ぐに喜びを表すのだから。

萩尾エリ子 / simples