咲く 2007年12月01日 掲載 その花は、義父の病室の窓辺を飾りました。 義父が逝き、庭の角に置かれた鉢は自然の光と露を受け、ひっそりと時を過ごしました。 秋風が吹く頃、枝の先にたくさんの固い蕾をつけていることに気がつきました。 暖かな部屋で、露はふくらんでゆきました。 冬の最中、仄かな香りを漂わせ、たわわな花は細い枝をしならせるほどに咲きました。 生かされて今日をある、それは心を包むような、いとおしい匂いと重さです。 萩尾エリ子 / simples « 新しい記事 | 古い記事 »