乾いた花々と草々を庭に撒きました。
それは昨年、一昨年と、夏の光の中で摘んだもの。
ガラス瓶の中で眠っていた薬草たちです。
花びらを路上に敷き詰め飾る、祭りのような華やかさはなく、少し色褪せた薬草は、ひっそりと美しく地を覆いました。
人の世の賞味期限は過ぎたけれど、次の緑たちにはささやかな滋養となるはず。
手からはらはらと舞い降りる花々の風情は、申し訳なく思う心にも、ささやかな手当てをしてくれました。
この庭はとても小さくて地味ですが、私たちに心をつくすということを気づかせてくれるようです。
萩尾エリ子 / simples