四月も終わる頃、雷雨と霙と霜がやってきました。
それでも、水仙は次々と咲き、キバナノクリンザクラも満開です。
ラングワートの花の青色は衰えることなく、ワスレナグサの蕾はふくらみました。
林の美しい「青」は続きます。
木々の芽は、用心深く姿を現しました。林には輝く光が差し、小鳥たちの声は梢を渡り、空は広く高く見透せます。
麗しき時。私たちの魂が、すっきりと背筋を伸ばしました。
さあ、友よ。生きている限り、種を播こう。苗を植えよう。
一度として同じ5月はないのですから。
萩尾エリ子 / simples