月の輝く夜に

img0409LG

9月になると、ここでは涼風が吹き、野も秋のしたくを始めます。
わすれな草のこぼれた種はたくさんの子を生み、紫色のいんげんは実をふくらませました。

開けていた窓は夕刻には閉め、明かりを点します。
ふーっとひと息ついた庭と家。
美しい茶がらを撒いて床を掃き、一日を終え、秋を待つ。

銀色の月の光が身に浸みるようになりました。
9月28日は十五夜です。

萩尾エリ子 / simples