ショップに面した通りを、4年前から私たちは‘ヨモギレーン’(よもぎ通り)と呼んでいます。交通事故で、猫の「よもぎ」が逝った日からです。
優しくて人なつこく、柔らかなよもぎは、5月1日に子猫たちを生みました。子猫たちはそれぞれ、新しい家族のもとへ巣立ちました。
残った娘「わさび」は、また5月1日にたくさんの子猫を生みました。
あずき、きなこ、ミルク、セージ…。
ぴったりの名前をもらって、またそれぞれの家族を得ました。
よもぎは最愛の娘、わさびに木に登ることを教え、ひと夏と秋を共に過ごして、旅立ちました。
通り沿いに看板をつけました。ヨモギレーンと刻まれています。
「小さなショップは見えにくい、見つからない…。」
欅(けやき)と栗で作った看板に気付いていただけたら、車のスピードがゆっくりになったら、私たちはありがたく思います。
満開の桜の下、ヨモギの若草が出ています。
よもぎのように、柔らかい柔らかい手触りです。
萩尾エリ子 / simples