大地に緑が帰ってきました。スティンギングネトル、カウスリップ、プリムローズ、ワイルドデイジー‥‥。
昨年の、そしてずっと以前の緑たちは野のものとなりました。
小さな谷間に庭に、新しい苗たちが並びました。
“野”を母に持つこの緑たちは、やがて旅立ちます。
苗たちはとても丁寧に育てられています。
お渡しする私たちは、ひとりひとりの野の子供たちを愛し、どんな子かとお伝えすることができます。
蓼科の“時”が育てた緑たちは、母ゆずりの野の魔法を使って、おいしい空気とおいしい食べ物をきっと、手渡してくれることでしょう。
萩尾エリ子 / simples