ギィーッっと扉を開けると、ふわりといい匂いがします。
薬草たちの入り混じった香りは、心の中まで浸みこんでゆきます。
ちょっと留守をしたものの、20年以上、ずっと、この薬草のお店は開かれています。
とてもたくさんの方がここの扉を開け、この空気を吸い、不思議な力を持った草たちやそのエキスに魅了されました。
ファンタジーを信じる子供たちは大人になりました。
フロドやガンダルフが新しいハリーやハーマイオニーをつれてやってきます。
静かな二月に漂うハーバルノートの空気は格別です。
そーっといらして下さい。
萩尾エリ子 / simples