小川のバニラグラス

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6月の緑の空気は、6月の草と6月の樹々の葉が作り出します。
バニラグラスたちは、種をこぼしながら、川べりにやってきました。
ここは風と自分が選んだ場所。

きらきら光る水辺に、柔らかい穂をのばして気持ちよさそうです。
甘い香りの春の草、Sweet scented vernal grass ともいわれるこの草を、牧草の中から見つけ出せるのはこの季節。

スウィートウッドラフとともに、干してはじめて甘い香りを出す、野の贈りものです。

萩尾エリ子 / simples